「もっと家事やってるつもりなんだけど、なんか妻の機嫌が悪い…」
「皿洗いもゴミ出しもしてるのに、まだ足りないってどういうこと…?」
そんなモヤモヤの裏側にあるのが、いわゆる「名もなき家事」です。
・誰かが必ずやっているのに
・家事としてカウントされにくくて
・やっている本人も「仕事だ」と言いづらい
だからこそ、パパが気づきにくく、ママの不満がたまりやすい領域でもあります。
この記事では、
・名もなき家事ってそもそも何なのか
・具体的にどんな仕事があるのか(家の管理系/子育て系/メンタル負担系)
・夫婦で分担を話し合うためのシート案
・ケンカになりにくい会話の進め方
・完璧を目指さないための考え方
を、パパ目線で整理していきます。
「名もなき家事」とは何か
名もなき家事をざっくり言い換えると、
「誰かがやってくれて“当たり前”になっている、小さな家仕事のこと」
です。
例えば、
・トイレットペーパーの補充
・ゴミ袋を新しくセットする
・玄関の靴を並べる
・子どもの保育園の持ち物を毎晩チェックする
どれも1つ1つは小さな作業ですが、
毎日・毎週積み重なるとかなりの負担になります。
そして多くの家庭では、この「名もなき家事」を
・気づいた人
・気づきやすい人(=多くの場合ママ)
が、ほぼ自動的に引き受けてしまっています。
パパから見ると
「頼まれてないからやってないだけ」
「言ってくれればやるのに」
という感覚でも、
ママからすると
「何も言わなくても気づいてほしい」
「全部自分が監督と選手をやらされている」
というしんどさにつながるポイントです。
まずは、どんな「見えない仕事」があるのかを、カタログのように眺めてみましょう。
家の管理系の「名もなき家事」
まずは、いわゆる「家事」としてギリギリ認識されているけれど、
細かすぎてカウントされにくい仕事たちです。
ゴミ・消耗品まわり
・ゴミ袋がいっぱいになったら新しい袋をセットする
・分別ルールを確認して、ゴミの日ごとにまとめておく
・地域のゴミ収集カレンダーをチェックして、予定を把握しておく
・トイレットペーパーが少なくなったら買い足す
・ティッシュやキッチンペーパーのストックを切らさないようにする
・洗剤類(食器用・洗濯用・お風呂用など)の残量チェックと補充
「ゴミ出しはパパ担当」でも、
・袋の交換
・分別
・カレンダー管理
・ストックの発注係
は、実は全部ママ…というパターンも少なくありません。
掃除・片付けまわり
・洗面台や蛇口まわりの水滴を拭き取る
・排水口ネットの交換
・たまった郵便物や書類を分けて整理する
・冷蔵庫の中の賞味期限切れをチェックする
・玄関の砂やほこりを掃き掃除する
・「とりあえず置き」された荷物の仮置き場所を片付ける
こうした細かい片付けは、
「気になった人がやるもの」とされがちですが、
気になりやすい人に負担が集中しやすい家事でもあります。
子育て系の「名もなき家事」
子どもが生まれると、「名もなき家事」が一気に増えます。
持ち物・スケジュール管理
・保育園や幼稚園の持ち物リストを把握しておく
・おむつや着替えのストックを、指定の場所にセットしておく
・お便りやお知らせを読んで、行事や提出物の期日を管理する
・検診や予防接種のスケジュールをカレンダーに入れる
・当日の朝になって「ハンカチどこ?」「連絡帳書いた?」を回避するために前夜に準備する
ここがすべてママ任せになっていると、
「子どもの予定を全部一人で抱えている」
「何か忘れたら自分のせいになる」
というプレッシャーになります。
服・サイズ・持ち物の管理
・季節の変わり目ごとに、サイズが合う服・合わない服を仕分ける
・保育園に持っていく服の名前つけ
・サイズアウトした服をしまう/メルカリやお下がり用に分ける
・靴や帽子が小さくなっていないかチェックする
・タオルやスタイ、肌着など消耗品の買い足しタイミングを見計らう
「服を買う」「お店で選ぶ」のは分かりやすい家事ですが、
その前後にある細かい管理作業は、名もなき家事になりがちです。
メンタル負担系の「名もなき家事」
ここが、パパから一番見えづらいところかもしれません。
いつも何かを「覚えておく」仕事
・今どの洗剤がどのくらい残っているかを把握しておく
・子どもの予防接種や健診の次回予定を覚えておく
・保育園の行事予定や持ち物を頭の片隅で常に気にしておく
・誰の誕生日が近いか、プレゼントの候補を考えておく
・実家や義実家への連絡や手土産をどうするか考えておく
これは、目の前の作業だけでなく
「忘れないように気にし続ける負担」
が乗っているのがポイントです。
実際の作業時間は短くても、
頭のメモリをずっと少し占有され続けるイメージです。
夫婦で話せる「見える化シート」案
いきなり
「家事をもっとやってよ」
と言われても、パパとしては
「何があるのか分からない…」
「どこまでやればゴールなの?」
となりがちです。
そこでおすすめなのが、「見える化シート」を一緒に作ることです。
シンプルな項目例
紙でもスプレッドシートでもいいので、ざっくりこんな列を作ります。
- どんな家事か(具体的な名前)
- カテゴリ(家の管理/子育て/メンタル)
- 今やっている人(主に妻/主に夫/半々)
- 今後どうしたいか(妻/夫/交代制/外注 など)
項目の例を少し挙げると…
- ゴミ袋の交換
- トイレットペーパーの補充
- 洗剤の残量チェック
- 保育園の持ち物準備
- 予防接種のスケジュール管理
- 子どもの服のサイズチェック
- 行事やイベントのカレンダー入力
- 実家・義実家への連絡調整
これを、ママが一度「思いつく限り全部書き出す」だけでも
かなりの可視化になります。
パパはそこに
「これなら自分ができそう」
「これなら在宅ワークの日にまとめてやる」
など、手を挙げられるところから参加していくイメージです。
ケンカになりにくい話し合いのコツ
名もなき家事の話は、感情が絡みやすいテーマです。
少しでも雰囲気をマイルドにするために、
パパ側が意識できるポイントを挙げておきます。
1 最初に「ありがとう」をちゃんと言う
いきなり
「そんなにやることある?」「俺もやってるし」
から入ると、だいたい空気が悪くなります。
まずは
「こんなにあるって、正直知らなかった。今まで一人でやってくれていたんだね、ありがとう」
と一言伝えるだけでも、
その後の会話がかなり変わります。
2 「できることから引き取る」スタンスで話す
「公平に半分こ」にこだわると、
細かい部分で必ずぶつかります。
それよりも、
・妻が特に負担を感じているところ
・夫が取りやすいところ
から順番に変えていくほうが現実的です。
例えば
- 毎朝のゴミ袋の交換と、分別チェックはパパ担当にする
- 保育園の持ち物準備は、「平日は妻」「週末は夫」など分ける
- 予防接種や健診のカレンダー入力は、パパが全部やる
といった「自分がボールを持てる領域」を増やしていくイメージです。
3 「監督役」からもママを解放していく
「手伝うよ、何やればいい?」は
一見前向きですが、
実は「段取りの指示」をママに丸投げしていることにもなります。
理想は、
・自分で気づいて
・自分で判断して
・自分で完結させる
範囲を少しずつ広げていくことです。
たとえば、
- ゴミまわりのことは全部パパが責任者
- 洗剤や消耗品の発注はパパが管理
- 子どもの予防接種スケジュールはパパのカレンダーにも全部入れる
など、「ここは自分の担当」と決めると、ママのメンタル負担もかなり軽くなります。
完璧を目指さなくていい理由
名もなき家事を意識し始めると、
真面目なパパほど
「全部ちゃんとやらなきゃ」
「漏れがあったら怒られるかも」
と力が入りがちです。
でも、このテーマのゴールは
「家事を100点にすること」ではなく、
「家のことを考える負担を、夫婦で“それなりに”分け合えるようになること」
です。
・今日は仕事が忙しくて、いつものルーティンができなかった
・ここはやり方が違って、ママに指摘されてイラッとした
そんな日も当然あります。
それでも、
・名もなき家事の存在を知って
・少しずつ自分ごととして引き取っていく
その姿勢があるだけで、
ママから見える「パパの頼もしさ」は全然違ってきます。
さいごに:まずは「一つだけ」変えてみる
名もなき家事は、いきなり全部洗い出して完璧に分担しなくても大丈夫です。
最初の一歩としては、
- ゴミまわり
- 保育園の持ち物
- 子どもの服とサイズ管理
などから、一つだけ「自分の担当」にしてみるのがおすすめです。
「この分野については、ママに聞かれなくても自分が動く」
そう言える領域が一つ増えるだけで、
家庭の空気は少しずつ変わっていきます。
名もなき家事は、見えないからこそ不公平になりやすい。
でも、見えるようにして、少しずつシェアしていくことで、
「パパがいてくれて助かる」と実感してもらえるチャンスにもなります。
一気に完璧を目指さなくて大丈夫です。
今日できそうな名もなき家事を、一つだけ「自分の仕事」にしてみてください。
