無痛分娩だから楽なわけじゃない。出産方法それぞれの特徴をパパ向けに解説

「無痛分娩って、痛くないんでしょ?」
「自然分娩が一番いいんじゃないの?」
「帝王切開って、楽なんでしょ?」

パパ側の会話で、こんな言葉が出てくることがあります。

でも、出産に「楽な方法」なんてありません
どの方法を選んでも、ママの体には大きな負担がかかり、命がけで赤ちゃんを迎えてくれています。

この記事では、

・自然分娩・無痛分娩・帝王切開、それぞれのざっくりした特徴
・パパがついやってしまいがちな「誤解」
・出産方法を決めるときに、パパが意識したいスタンス

を、パパ向けに整理していきます。
医学的な細かい判断は、必ず担当医・助産師さんと相談してください。

目次

出産方法を「ランキング」しないのが大前提

まず、一番大事なポイントから。

・自然分娩だから「えらい」
・無痛分娩だから「ラクしている」
・帝王切開だから「本当の出産じゃない」

こういった「格付け」や「ランキング」の考え方は、全部NGです。

現場では、

・ママと赤ちゃんの安全
・妊娠経過や持病、赤ちゃんの状態
・病院ごとの体制

を総合して、「そのとき一番安全そうな選択」がされます。

どの方法であっても、

・陣痛や術後の痛み
・出血や感染のリスク
・体力の消耗
・その後の育児への影響

があるという点では共通しています。

パパとしては、

「どれが一番楽か」ではなく
「ママと赤ちゃんにとって一番安全なのはどれか」

という視点で話を聞いていくのが大切です。

自然分娩(経膣分娩)の特徴と、よくある誤解

いわゆる「普通のお産」と言われることが多いのが、自然分娩(経膣分娩)です。

・自分の陣痛の力と、いきむ力で赤ちゃんを産む
・麻酔は基本的に使わない(会陰切開など局所麻酔は別)
・経過が順調なら、母子ともに回復も比較的スムーズとされることが多い

というイメージです。

パパの中には、

「やっぱり自然が一番でしょ」
「薬を使わないほうが安心じゃない?」

となんとなく思っている人もいるかもしれません。

ただ、自然分娩も当然ながら「楽」ではありません。

・強い陣痛の痛みが何時間も続くことがある
・いきみがうまくいかず、体力を消耗する
・分娩の途中で、吸引分娩や鉗子分娩、緊急帝王切開に切り替わることもある

など、予測しきれない大変さがあります。

ママ自身が「できれば自然分娩がいい」と思っていても、
妊娠後期の検査結果や分娩経過によっては、予定変更になることもあります。

パパとしてできるのは、

「自然分娩で産んでほしい」ではなく
「一番安全な方法を先生と相談して決めてほしい」

というスタンスでいることです。

無痛分娩の特徴と、「楽なんでしょ?」の落とし穴

無痛分娩は、

・陣痛の痛みを軽くするために、主に硬膜外麻酔などを使う分娩方法

です。病院によってやり方や範囲はさまざまです。

パパが誤解しがちなポイントはここです。

「無痛なんだから、痛くない=楽なんでしょ?」

しかし現実には、

・「痛みがゼロ」ではなく、「和らぐ」が基本
・麻酔が効きにくい人・効き方にムラがある人もいる
・麻酔処置そのもののリスク(血圧低下、頭痛など)がゼロではない
・打つタイミングや施設の体制によっては、希望しても受けられないことがある

といった前提があります。
実際に「全然無痛じゃ無い、痛すぎた…」という声もよく聞きます。

また、無痛分娩を選ぶママの中には、

・過去のトラウマで、強い痛みが怖い
・持病があり、体力面で不安がある
・高齢出産で、少しでも体の負担を減らしたい

など、「ラクをしたいから」だけではない理由があることも多いです。

パパが

「痛くないなら大丈夫でしょ」
「早く無痛にしてよかったね」

と軽く言ってしまうと、
ママは「本当のしんどさを分かってもらえていない」と感じてしまいます。

大事なのは、

・無痛分娩でも、陣痛や分娩のプロセスはある
・麻酔が効いていても、体力の消耗や不安はある
・その選択は、「ママのわがまま」ではなく「安全を考えた選択
」でもある

という理解をパパが持つことです。

帝王切開の特徴と、「楽な手術じゃない」という現実

帝王切開は、手術でお腹と子宮を切開して赤ちゃんを取り出す方法です。

・予定帝王切開(前もって手術日を決める)
・緊急帝王切開(分娩途中のトラブルなどで急きょ切り替える)

の2パターンがあります。

パパ側の誤解で、特に多いのがこれです。

「帝王切開って、陣痛を耐えなくていいんでしょ?楽じゃない?」

でも実際には、

・腰からの麻酔や全身麻酔をして、お腹と子宮を切開して赤ちゃんを出す「大きな手術」をしている
・術後は傷の痛みで、起き上がる・歩く・笑う・咳をするだけでも激痛
・お腹を押されて子宮の戻りを確認されたり、後陣痛でうずくまるほど痛むこともある
・体の回復に時間がかかりやすい中で、すぐに新生児の世話が始まる

など、「出産+手術後の回復」を同時にこなす状態になります。

また、帝王切開を選ばざるを得なかったママの中には、

・自分だけ「普通に産めなかった」と感じてしまう
・周りから「楽でよかったね」と言われて傷つく

という葛藤を抱える人もいます。

パパがやってしまいがちなNGワードは、

・「帝王切開でよかったじゃん、痛いの一瞬でしょ?」
・「俺だったら自然分娩で産んでほしいけどな」

といった言葉です。

代わりに、

・「どんな方法でも、命がけで産んでくれたことに変わりはないよ」
・「手術までして赤ちゃんを産んでくれて、本当にありがとう」

という気持ちを、口に出して伝えていきましょう

出産方法を決めるのは、誰か

出産方法について話し合うとき、
パパが勘違いしないほうがいい大前提があります。

・最終的な判断は「医師」と「ママの体」でするもの
・パパの役割は「選択肢を一緒に理解して、支えること」

です。

もちろん、夫婦で希望や不安を話し合うのは大事です。

ただ、パパが

・インターネットの情報だけを見て、「絶対自然がいい」「無痛は危険だ」と断言する
・自分の価値観だけで、「こうしてほしい」と強く押しつける

のは避けたいところです。

病院見学や説明会で、パパが聞いておきたいポイント

出産方法を検討するとき、
パパも一緒に病院見学や説明会に参加できるなら積極的に行くのがおすすめです。

そのときに、こんなポイントを聞いておくと、あとで夫婦で話し合いやすくなります。

・その病院で対応できる出産方法の種類(自然分娩・無痛分娩・帝王切開など)
・無痛分娩の場合の流れ(いつ麻酔を入れるのか、24時間対応か、別料金か)
・帝王切開になる可能性が高いケース(逆子、前置胎盤、双子など)の説明
・緊急時の体制(夜間・休日の対応、救急搬送の体制など)
・ママが希望を伝えられるタイミング(バースプランの提出など)

パパが主体的に質問する姿を見せると、
ママも「一緒に考えてくれている」と感じやすくなります。

パパにできることは「選ばれた方法を尊重する」こと

どの方法になっても、共通してパパにできることがあります。

・「この方法になってしまった」ではなく、「この方法で無事に会えた」と受け止める
・どの方法でも、ママは命がけだったことを言葉にする
・周りからの心ない言葉(「自然じゃないの?」「楽していいね」など)からママを守る

具体的な一言の例としては、

・「自然でも無痛でも帝王切開でも、ママが命がけで産んでくれたことに変わりはないよ」
・「どの方法を選んでも、俺はママの決断を尊重するよ」
・「もし誰かに何か言われても、うちの選択はこれでよかったって俺は胸を張って言える」

などがあります。

まとめ:出産方法を「争点」にせず、「チームの作戦」として考える

出産方法の話は、
気づかないうちに「どれが正しいか」「どれが立派か」という争いになりがちです。

でも本来は、

・どの方法も、ママと赤ちゃんを守るための手段のひとつ
・状況に応じて、医師とママの体が選ぶ「作戦」

です。

パパにできるのは、

・自然分娩=えらい、無痛・帝王切開=楽、というイメージを手放すこと
・情報を一緒に集めて、「なぜこの方法なのか」を理解しようとすること
・選ばれた方法を尊重し、「ありがとう」を何度でも伝えること

この3つです。

そのうえで、
出産準備の本や、出産方法ごとの解説書を一緒に読むのも良いですし、
病院見学やオンライン説明会を夫婦で受けるのも大きな助けになります。

「どの方法で産むか」をジャッジする立場ではなく、
「どの方法になっても、二人で乗り越えるチームの一員」として、
ママのそばにいてあげてください。

良いと思ったらぜひシェアしてください!
  • URLをコピーしました!
目次