「母乳だから楽」ではない!授乳中のママを守るパパの役割とママの気持ち

「母乳だし楽じゃん?」
「お金もかからないし、洗い物もないから経済的だしいいよね」

そう言われると、言っていることはわかるけど、他人に言われるとちょっとモヤモヤする…というママは少なくありません。

・昼夜関係ない頻回授乳
・乳首の痛みや傷、しこり、張り
・授乳のたびに呼ばれて眠れない夜
・「母乳で育てなきゃ」というプレッシャー

母乳は素晴らしい面もたくさんありますが、
それと同じくらい「つらさ」もセットになっています。

ここでは、

・母乳神話のプレッシャーって何なのか
・混合やミルクも含めた「選択肢」の話
・その中でパパがどんなふうにママを守れるのか

を、パパ目線で整理していきます。

目次

「母乳神話」のプレッシャー

日本では今でも、

「できれば母乳で」
「母乳のほうが愛情深い感じがする」
「母乳で育てるのが自然」

といった空気が強く残っています。

義母や親世代からは、

「私のときは完全母乳だった」
「ミルクなんてあげたことない」

といった言葉が出てくることも多いでしょう。

ママ側から見ると、この空気は、

・母乳で育てないと「ちゃんとしてない母親」みたいに感じる
・混合やミルクを選ぶことに罪悪感が出てくる
・「頑張れば母乳だけでいけるんじゃないの?」と言われそうで怖い

という大きなプレッシャーにつながります。

本人はすでに、

「出ていない気がする」
「赤ちゃんが体重増えているか不安」
「もうヘトヘトで限界」

と悩んでいるのに、
そこに「母乳が一番」「頑張って」と言われると、
追い詰められてしまう
のです。

実際、母乳育児はどこが大変なのか

パパから見ると、

「哺乳瓶を洗ったり、ミルクを作ったりしなくていいなら、むしろ楽なのでは?」

と感じることもあるかもしれません。
たしかにそのメリットはあります。

でも、ママにはこんな負担があります。

・産後すぐから、昼夜問わず2〜3時間おきの授乳
・乳首が切れて血がにじむほどの痛み
・張りすぎて熱を持ち、腕を上げるのもつらい
・授乳クッションを抱えて同じ姿勢で座り続ける腰・肩への負担
・夜中の授乳で、まとまった睡眠がほぼ取れない

そして、

「母乳が足りているのか」
「ミルクを足したら、母乳が減ってしまうのでは」

と、低月齢のうちは毎回の授乳が「テスト」のような気持ちになることもあります。

もう一つポイントなのは、

母乳は、ほぼママしかできない(搾乳を除けば)
・だからこそ、「いつも自分だけが呼び出される」状態になりやすい

ということです。

「母乳だから楽でしょ」ではなく、
「母乳だからこそ、ママの負担が一点集中しやすい」
という現実を、パパが知っておくことが大切です。

混合やミルクも「ちゃんとした選択肢」

母乳が良い面もたくさんある一方で、

・完全母乳
・混合(母乳+ミルク)
・完全ミルク

どれも「赤ちゃんをきちんと育てるための立派な選択肢」です。

本来、

・ママの体調
・赤ちゃんの状態
・家庭の状況(上の子の有無、サポート体制)

などを総合して、
医師や助産師と相談しながら決めていいはずのものです。

「母乳にこだわりすぎてつらそう」
「ママの表情から余裕が消えている」

こんな状態になっているなら、
混合やミルクを取り入れることは、

「逃げ」でも「負け」でもなく、
ママと赤ちゃんを守るための立派な作戦変更です。

パパが、

「母乳だけにこだわらなくていいよ」
「ミルク足しても全然悪いことじゃないよ」

と言ってくれるだけで、
ママの肩からプレッシャーが少し降りていきます。

哺乳瓶拒否で、ママがさらに追い詰められることも

もう一つ、母乳育児でよく出てくるのが「哺乳瓶拒否」の問題です。

最初は

「夜だけミルクにしてパパにも授乳を手伝ってもらおう」
「いざというときに預けられるように、哺乳瓶にも慣れておいてもらおう」

と考えて、搾乳した母乳やミルクを哺乳瓶であげようとします。

ところが、赤ちゃんの中には

・哺乳瓶の乳首をくわえた瞬間にギャン泣き
・口には入れるけれど、絶対に吸わない
・最初は飲んでいたのに、ある日から急に拒否する

という子も少なくありません。

ここでパパが

「なんで飲まないんだよ」
「この哺乳瓶が嫌いなのかな?」

と原因探しをしたくなる一方で、
ママのほうはこんな気持ちになっています。

・「私の抱き方が悪いのかな」
・「母乳のあげ方が悪くて、哺乳瓶に慣れなかったのかな」
・「これじゃ私がずっと付きっきりになるしかない…」

つまり哺乳瓶拒否は、

・ママが一人で授乳を抱え込まざるを得ない
・ママが数時間以上、家から離れにくくなる
・「私がいないとこの子は生きていけない」という責任感とプレッシャーが限界まで高まる

という状況につながりやすいのです。

パパ側から見ても、

・自分がミルクをあげて役に立ちたかったのにできない
・泣かれて交代してもらうたびに、余計にママの負担が増えている気がする

と、無力感を覚えやすいポイントでもあります。

大事なのは、

・哺乳瓶拒否は「よくあること」で、ママのせいでも赤ちゃんが悪いわけでもない
・原因をママや赤ちゃんに求めるのではなく、「今できる工夫」を一緒に探すこと

とパパが理解しておくことです。

具体的には、

・乳首の形や柔らかさ、メーカーを変えて試してみる
・ミルクの温度を少し変えてみる(母乳に近いぬるさにするなど)
・お腹が空きすぎていないタイミングで試す
・ママではなくパパや第三者が抱っこしてあげる
・授乳の専門家(助産師、母乳外来)に相談してみる

といった「できることリスト」を、ママと一緒にゆっくり試していくイメージです。

そのうえで、パパの一言として大事なのは、

「哺乳瓶飲めなくても、ママや赤ちゃんのせいじゃないよ」
「今できる範囲で二人を支えるから、一緒にやり方考えよう」

というメッセージを、はっきり言葉にして伝えることです。

パパが「盾」になる

母乳で悩むママを守るうえで、
パパの役割は大きく分けて3つあります。

  1. ママの味方でいることをはっきり示す
  2. 外からのプレッシャーから守る(盾になる)
  3. 現実的なサポートを一緒に考える

順番に見ていきます。

1. まずは「答え合わせ」をしない

一番やってしまいがちなのが、

「結局どれくらい出てるの?」
「何ml飲んだの?」

と、「正解」を知ろうとすることです。

ママはすでに、
体重グラフ・授乳間隔・ミルクの量など、
頭の中が数字でいっぱいになりがちです。

そこにパパからも「結果」を聞かれると、

「また評価される」
「ちゃんとできてないって言われそう」

と感じてしまうことがあります。

代わりに、こんな声かけがおすすめです。

「今日も授乳、本当にお疲れさま」
「何回も起きてくれてありがとう。大変だったよね」
「授乳してくれるだけですごいと思ってるよ」

「どれくらい出てるか」ではなく、
「どれだけ頑張っているか」にフォーカスするイメージです。

2. 親族や周りからのプレッシャーを受け止める

実はママよりも、
義母や親戚、友人からの一言がきついこともあります。

「母乳なの?ミルクなの?」
「私の時は完全母乳だったわよ」
「母乳の方が免疫がつくって聞くけどね」

こういう言葉を、ママ一人に受け止めさせないのが、パパの役割です。

たとえば、

「今、授乳のことでかなり頑張ってて、プレッシャーも大きいみたいなので、あまり母乳かミルクかを聞かないでもらえると助かります」

「先生や助産師さんとも相談しながら方針を決めているので、うちのやり方はうちで決めていきます」

といった形で、パパ側が一歩前に出て話してくれると、
ママはかなり救われます。

3. 現実的な「負担の軽減策」を一緒に考える

パパにできる具体的なサポートも、意外とたくさんあります。

・夜間、授乳のあとのゲップ・オムツ替え・寝かしつけはパパが担当
・搾乳した母乳やミルクをパパが飲ませる時間帯を作り、その間ママに眠ってもらう
・授乳のたびに水分や軽食を用意して、「授乳ステーション」を整える
・上の子がいる場合は、できる限りパパが担当して、ママは赤ちゃんに集中できるようにする

そのうえで、

「母乳だけでやるのがしんどかったら、混合か、完ミにすることも一緒に考えよう」

と言ってくれると、
ママは「自分一人で決めて責められる」感覚から解放されていきます。

限界サインを見逃さない

母乳にこだわりすぎて、
ママの心も体も限界になってしまうこともあります。

例えば、こんなサインが見えたら要注意です。

・授乳のことを考えるだけで泣きそうになる
・授乳中、痛みやしんどさで涙が出る
・「ちゃんと母乳で育てられない私はダメな母親だ」と口にする
・夜が怖い、朝起きるのがつらい
・赤ちゃんはかわいいはずなのに、うまくそう感じられない

こういうときにパパができるのは、

「頑張れ」ではなく「一度立ち止まろう」と言うことです。

・授乳のやり方や方針を、助産師さんや母乳外来で相談してみる
・自治体の保健センターの育児相談や、オンラインで助産師に相談できるサービスを一緒に探す
・必要そうなら、産婦人科や心療内科とも相談する選択肢を提案する

ママが「助けて」と言える状態じゃないことも多いので、
パパのほうから「一緒に相談しよう」と声をかけてあげるのが大切です。


「でも実は…」もともと母乳にこだわっていなかったママの気持ちの変化

もう一つ、パパに知っておいてほしいのが

「もともと母乳にそこまでこだわっていなかったママでも、気持ちが途中で変わっていくことがある」

ということです。

妊娠中は

「母乳でもミルクでも、出るほうでいいかな」
「完全母乳じゃなくても全然OK」

くらいの気持ちだったママでも、
実際に授乳が始まると、状況が変わってきます。

・おっぱいを必死に探してくる赤ちゃんの顔
・ゴクゴク飲んで、満足してとろ〜んと眠る表情
・自分の胸の上でスヤスヤ寝落ちしていく感覚

こういう時間を重ねるうちに、

「この子がこんなに一生懸命に飲んでくれている」
「この時間がすごく愛おしい。できるだけ母乳で続けてあげたい」

という思いが、自然と強くなっていきます。

その一方で、

・体はボロボロで、夜中の授乳がつらい
・乳首や胸の痛みで毎回泣きそうになる
・ミルクを足したほうがラクになるのは分かっている

といった現実との間で、ママの中に大きな葛藤が生まれます。

「もう限界だからやめたい」
「でも、この必死に飲む姿を見ているとやめたくない」

この矛盾した気持ちを、
ママは一人で抱え込みがちです。

だからこそパパには、

「もともと母乳派じゃなかったはずなのに、なんでそんなに頑張るの?」

ではなく、

「かわいいし続けてあげたい気持ちと、つらさの両方があるんだろうな」

と、ママの中で起きている気持ちの揺れそのものを想像してあげてほしいのです。

助産師オンライン相談や母乳外来も味方になる

最近は、

・オンラインで助産師に相談できるサービス
・産院や助産院が開いている母乳外来
・自治体の母子保健センターの相談窓口

など、母乳や授乳の悩みを専門的に聞いてもらえる場所が増えています。

パパとしては、

「こういう相談先があるみたいなんだけど、一緒に行く?」

とリンクや情報をママに渡してあげるだけでも、
気にかけてくれているんだ、と心細さはなくなります。

まとめ:母乳の話は「ママの頑張り」ではなく「夫婦の作戦」に

母乳かミルクか、混合か。

これは本来、
ママ一人の頑張りで決めるものではなく、

・ママの体調
・赤ちゃんの状態
・家庭の状況

を見ながら、夫婦と専門家で一緒に決めていく「作戦」です。

パパにできるのは、

・母乳だからといって「楽」と決めつけず、ママの気持ちを知る
・母乳神話のプレッシャーから、ママを守る盾になる
・混合やミルクも含めた現実的な選択肢を一緒に考える
・必要に応じて、助産師や母乳外来、オンライン相談など専門家につなげる

この4つです。

今日からできる一歩は、とてもシンプルです。

「授乳辛くない?どうしたら一番ラクになりそうか、相談してみない?」

その一言だけでも、
母乳に追い詰められているママにとっては、
大きな救いになります。

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