いわゆるガルガル期って何?産後ママの心に起きていることをパパ向けに解説

「なんか最近、妻がずっとピリピリしている」
「俺の親(ママにとっての義母)が赤ちゃんを抱っこしようとすると、かなり不安そうな顔をする」
「俺まで敵みたいに扱われてない?」

産後しばらくして、こんな空気を感じて戸惑っているパパも多いと思います。

この時期に、ママの様子を表す言葉としてよく使われるのが「ガルガル期」。
この記事では、

・ガルガル期ってどんな状態のことを言っているのか
・産後ママの心と体の中で何が起きているのか
・義母や義両親に赤ちゃんを触られたくない心理
・パパが「責められている」と感じたときの心構え
・ガルガル期のママにどう関わるといいのか

を、ママの本音も交えながらパパ向けに整理していきます。


目次

ガルガル期ってどんな状態?

「ガルガル期」は、医学用語でも正式な診断名でもありません。
もともとは、

・産後のママがいつも以上にイライラしやすい
・赤ちゃんを守ろうとする気持ちが強くなって、周りに攻撃的になってしまう

そんな状態を、犬や猫が子どもを守るときの「ガルル…」というイメージから
たとえるようになった「俗称」です。

よくあるのは、こんな場面です。

・義母や義父が、遠慮なく赤ちゃんに触ったり抱っこしようとする
・来客が多くて、休む暇がないのにママに気遣いがない
・パパが何気なく言った一言に、今まで以上に強く反応する

ママの中では

「赤ちゃんを守らなきゃ」
「私のペースやルールを崩されたくない」

という警戒モードが強く働きやすくなっています

ポイントは、

・性格が急に悪くなったわけでもない
・パパや義両親を「本気で嫌いになった」わけでもない

ということです。
後で振り返ると、本人も

「なんであんなにトゲトゲしてたんだろう」
「申し訳なかったな…」

と感じることが多い時期でもあります。


産後ママの心と体の中で起きていること

ガルガル期の背景には、いくつもの要素が重なっています。

ホルモンの急激な変化

妊娠中、ママの体の中ではホルモンが大きく変化しています。
そして出産を境に、そのバランスがまたガラッと変わります。

ざっくり言うと、

・妊娠中モードのホルモンから
・母乳を出したり、体を回復させたりするモードへ

短期間で切り替わるイメージです。

この変化は、感情にも大きく影響します。

・理由もなく涙が出る
・いつもより不安になりやすい
・ちょっとしたことでイラッとしやすい

これは「心が弱いから」ではなく、
体の中で大きな変化が起きている結果でもあります。

慢性的な睡眠不足と体の痛み

産後しばらくは、まとまった睡眠がほとんどとれません。

・授乳やミルクで2〜3時間おきに起こされる
・寝たと思ったら、すぐ泣いて呼び戻される
・昼寝も赤ちゃん次第なので、自分のタイミングで休めない

さらに、

・会陰切開や帝王切開の傷の痛み
・授乳による胸の張りや痛み
・腰や肩、手首の痛み

など、体もボロボロの状態です。

この状態で、

「もっと笑顔でいて」
「みんなに優しくしてほしい」

というのは、正直かなり難易度が高いことを
パパには少し頭の片隅に置いておいてほしいところです。

「ちゃんとしなきゃ」というプレッシャー

ママの中にはこんな気持ちも同時に渦巻いています。

・ちゃんと育てなきゃ
・失敗できない
・怒られないようにしなきゃ
・みんなに「ちゃんとしてる」と思われたい

そこに、

・義両親の言葉
・友人やSNSとの比較
・パパの何気ない一言

が重なってくると、

「これ以上、外から何か言われるのは無理…」

という気持ちが出てきやすくなります。


義母や義両親に赤ちゃんを触られたくない心理

パパとしては

「うちの親だし、抱っこくらいさせてあげたい」
「そんなに嫌がらなくても…」

と感じるかもしれません。

一方で、ママの本音はこんなところにあります。

1 赤ちゃんの「安全ルール」を守れているか不安

例えば、

・手を洗わずにそのまま触ろうとする
・寝ている赤ちゃんを、起こしてまで抱っこしようとする
・勝手にキスをする

など。

ママから見ると、

「赤ちゃんの安全ルールを分かってくれていない」
「何度も説明するのは気まずいし、でも守ってほしい」

という板挟み状態になりがちです。

2 「私のやり方」を尊重されていないと感じてしまう

「昔はこうしてたのよ」
「そんなに気にしなくても平気よ」

といった言葉も、ママにはグサッと刺さります。

ママにとっては、

今の情報や、医師・助産師のアドバイスをもとに
不安の中で、自分なりに一生懸命決めたルール

がたくさんあるからです。

それを軽く否定されるように感じてしまうと、

「この人たちに赤ちゃんを触らせたくない」
「私と赤ちゃんの“安全地帯”に踏み込んでほしくない」

というガードが一気に上がります。

3 「味方でいてほしいパパが、向こう側につく怖さ」

実はママが一番怖いのは、

・義両親そのものよりも
・パパがそちら側に立ってしまうこと

だったりします。

例えば、

・ママが嫌がっているのに「まあまあ、いいじゃん」となだめる
・ママの前で「そんなに神経質になるなよ」と義母に合わせる

こういう場面が続くと、ママの中では

「私の気持ちは分かってもらえない」
「パパは向こうの味方なんだ」

という気持ちになり、ガルガル度合いはさらに強くなっていきます


「怒られているのは俺?」と感じたときの心構え

ここまで読むと、パパの中には

「いや、なんか全部俺が悪いみたいじゃん…」

と感じた方もいるかもしれません。

ここで伝えたいのは、

・ママのトゲトゲしさ
・義両親への強い拒否感

が、そのまま「パパ個人への嫌悪」ではないことです。

多くの場合、

・産後の体と心の限界
・「これ以上守りきれない」という不安
・誰にも分かってもらえない孤独感

が、いちばん弱そうに見えるところ(=一番近くて安全な人)に
噴き出してしまっています。

つまり、

・ママにとってパパは「甘えられる相手」
・だからこそ、一番強くぶつけてしまう

という側面もあります。

もちろん、言っていいことと悪いことはありますが、

「妻が今、俺を嫌いになったわけではない」
「今は“状況”に追い込まれているんだ」

と一度立ち止まって捉え直せると、
パパの心のダメージも少し軽くなるはずです。


ガルガル期のママに、パパができる具体的な関わり方

ここからは、「じゃあどうすればいいの?」の部分です。

1 まずは事実より「気持ち」を受け止める

ママ
「お義母さんに、あんまり抱っこしてほしくない」

パパの心の声
(そんな言い方しなくても…悪気ないのに)

こんなとき、つい正論で返したくなりますが、否定しないでください。

ここで大事なのは、

・義両親の評価をすぐに始めない
・ママの「しんどさ」にいったん光を当てる

ことです。

2 「安全ルール」を一緒に言語化する

感情レベルの話から、少しだけ具体的な話に落としていきます。

「例えば、どこまでなら大丈夫?」
「どんなことをされると“嫌だ”ってなる?」

と、具体的なラインを一緒に決めていきます。

例としては、

・抱っこの前には必ず手を洗ってほしい
・寝ているときは起こさないでほしい
・口へのキスはやめてほしい

など。

それをパパが

・義両親側の言葉にも訳してあげる
・前もって説明しておく

ことで、ママのガードも少し下がりやすくなります。

3 義両親へのクッション役になる

パパの役割として大きいのがここです。

義母に対して、

「今はまだ、妻もいっぱいいっぱいでね。
 こういうルールだけ、守ってもらえると助かるんだ」

とパパが前に立って伝えてくれるだけで、
ママの安心度はかなり違います。

そのうえで、ママには
「俺からもう言っておいたから大丈夫だよ」と共有することがベストです。
(当然ですが、ルールは必ず守ってもらってください!前科がある場合や「自分の親、ちょっと心配かも…」という場合はパパ自身もその場に立ち会ってルールを守るように抑制して、ママの味方になってあげてください。)


こんなときは要注意。専門家への相談も考えよう

ガルガル期は、多くの場合は一時的なものですが、
中には「産後うつ」など、もう少し深いレベルでケアが必要なケースもあります。

例えば、こんなサインが続くときは要注意です。

・ほとんど眠れていない、寝ようとしても眠れない
・何をしても楽しいと感じられない
・強い自己否定の言葉が増えている
 (「私なんていないほうがいい」「母親失格だ」など)
・赤ちゃんがかわいいと思えない、と繰り返し口にする、または思う
・自分や赤ちゃんを傷つけてしまいそうで怖いと言う

こうしたサインがあるときは、

・産院の先生や助産師さん
・自治体の保健師さん
・産後専門のオンラインカウンセリングや相談窓口

など、専門家の手を借りることも大切です。

パパができる一歩としては、

「最近本当に大変そうだから、
 一度どこかに相談してみない?
 一緒についていくから」

と、相談先を一緒に検索してあげること。

ママ一人に「相談に行ってきて」と丸投げせず、
「二人の問題」として一緒に向き合えると、
それだけでママの孤独感はだいぶ軽くなります。

育児や家事も、なるべくパパが引き受けて
少しでもママの負担を減らしてあげてください。


まとめ:ガルガル期は「誰かを嫌いになった」のではなく「守りたい」が強すぎる状態

いわゆるガルガル期は、

・ママの性格が悪くなったわけでも
・パパや義両親が急に嫌いになったわけでもなく

「赤ちゃんと自分を守りたい」気持ちが
ホルモン・睡眠不足・プレッシャーなどと重なって
強く出てしまっている状態
です。

パパが覚えておいてくれると嬉しいポイントをまとめると、

・ガルガル期は、産後ママの心と体の「防衛モード」
・義両親を拒否する背景には、赤ちゃんの安全と「自分のやり方を守りたい」気持ちがある
・ママのトゲトゲしさを、パパ個人への嫌悪とだけ受け取らない
・まずはママの気持ちを受け止め、そのうえで一緒にルールを言語化する
・義両親との間に立つ「クッション役」は、パパにしかできない大事な仕事
・様子がどうしても心配なときは、専門家への相談も視野に入れる

もしかするとこの記事を読んでいる人の中には、
絶賛ガルガル期・産後うつに悩んでいるママがいるかもしれません。

うまく言葉で伝えられないママは、

「私が今、どんな気持ちなのか、うまく言葉にできないから…
 これ、一緒に読んでもらえたら嬉しい」

と、ぜひこの記事をパパにシェアして、気持ちを伝えてみてくださいね。

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