ディーマー(D-MER)って何?授乳のたびに気分が落ち込むママをサポート

授乳が始まる直前、ママの顔色がスッと変わる。急に黙り込んだり、イライラしたり、「もう無理」とこぼしたり。
パパとしては心配だし、正直どう声をかけたらいいか分からない。赤ちゃんのために頑張ってほしい気持ちもある一方で、頑張らせているのは自分なのかも…と胸がザワつく。

    もしその落ち込みが「授乳(または搾乳)の直前〜母乳が出始める一瞬」に集中して起きるなら、D-MER(ディーマー)という状態の可能性があります。

    この記事では、D-MERの特徴、産後うつとの違いの見方、パパができる具体的な支え方をまとめます。

    目次

    D-MER(ディーマー)とは?授乳の直前だけ気分が落ちる現象

    D-MERは、Dysphoric Milk Ejection Reflex(不快な乳汁射出反射)の略です。
    母乳が出る合図(いわゆるレットダウン)が起きる直前〜出始めのタイミングに、理由のない強い不快感や落ち込み、不安、イライラが押し寄せることがあります。多くの場合、その波は短時間で引きます。

    ここでパパが押さえたいのは、D-MERは「母性が足りない」とか「性格の問題」と決めつける話ではない、という点です。本人の意思とは別に、体の反射のタイミングと結びついて起きるものとして説明されています。

    引用:https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/24879-dysphoric-milk-ejection-reflex

    ホルモンの動きが関係すると考えられている

    母乳が出るとき、体の中では複数のホルモンが連動します。その過程で、気分や意欲に関係するドーパミンが一時的に下がることがあり、D-MERはこの急な変動が関係しているのでは、と考えられています(まだ研究途中です)。

    引用:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3126760/
    引用:https://www.breastfeeding.asn.au/resources/d-mer

    パパ目線で言うなら、これは「気の持ちよう」で片づけるほど単純じゃない、ということ。
    ママがいちばん傷つくのは、落ち込む理由を説明できないのに、周りから“説明”を求められる場面だったりします。

    こんなサインが出やすい!ママの本音

    D-MERの出方は人それぞれですが、よくあるのは次のような形です。

    授乳(搾乳)の直前〜数分だけ、気分が底に落ちる

    • 授乳や搾乳を始める直前、急に不安になる
    • 悲しさ、虚しさ、焦り、イライラ、嫌悪感が一気に来る
    • 母乳が出始めて少しすると、スッと戻る

    引用:https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/24879-dysphoric-milk-ejection-reflex

    ママの頭の中で起きやすいこと

    パパには見えにくいけれど、ママ側の本音はこんな方向に向かいやすいです。

    • 赤ちゃんは大事。でも授乳の時間が怖い
    • 授乳が始まると、心が勝手に暗いほうへ引っぱられる
    • 「私、変じゃない?」「母親に向いてない?」と自分を責めてしまう
    • 終わったら落ち着くのに、また次が来ると思うとしんどい

    この“わけの分からなさ”が、孤独を増やします。本人も説明できないからこそ、「理解されないかも」と黙ってしまうことがあります。

    産後うつとどう違う?見分けのヒント

    ここは決めつけが一番危険なので、「ざっくりの見方」として使ってください。

    D-MERっぽいとき

    ・気分の急降下が授乳(射乳)のタイミングに偏っている
    ・波が短く、授乳が進むと落ち着くことが多い


    引用:https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/24879-dysphoric-milk-ejection-reflex

    産後うつ・不安も疑っていいとき

    ・授乳以外の時間も気分が沈み続ける
    ・眠れない、食欲がない、涙が止まらない日が続く
    ・育児の場面全体がつらく、回復のきっかけが見えない

    そして重要なのが、D-MERと産後うつが重なることもある点です。
    「授乳のときだけだから様子見でいい」と抱え込まず、産婦人科・母乳外来・心療内科などに相談してかまいません。早めの相談は甘えではなく、安全運転です。


    (参考)養育者のメンタルヘルスについて触れている資料
    https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000520616.pdf

    パパにできることは、正解探しより“波の乗り切り方”を一緒に作る

    パパがやりがちなのは「原因を特定して解決する」モード。でもD-MERは、理屈で説得して消えるタイプではありません。
    役に立つのは、授乳の時間を“辛さが増えにくい形”に整えることです。

    1)授乳中は、そばにいるか、すぐ来られる位置にいる

    ・同席してほしいタイプ
    ・放っておいてほしいタイプ
    ここは家庭によって違います。大事なのは「助けが必要なら呼べる状態」を作ること。ママが一人で抱えやすい時間帯ほど、パパの支えがあると嬉しいです。

    2)余計なことを言わない

    授乳の直前、ママが感情の波に飲まれているときに、正論は刺さります。

    「考えすぎじゃない?」
    「赤ちゃんのために頑張って」
    「母乳って幸せな時間のはずだよ」

    ママは、
    「分かってる。分かってるけど、今はそれを言われると余計に苦しい」
    という気持ちになります。

    3)選択肢の整理役になる:搾乳・ミルク併用・回数調整は“負け”じゃない

    D-MERで追い詰められやすいのが、「母乳を続けるしかない」という一本道。
    パパができる最大の支援は、逃げ道を“言葉にする”ことです。

    • 搾乳にして授乳の場面を減らす
    • 混合にして、体調の悪い回はミルクにする
    • 夜だけミルクにして睡眠を確保する
    • 授乳回数を少し減らして様子を見る

    4)予約や調べものはパパが引き受ける

    ママが動けないときほど、段取りが重荷になります。
    パパがやると助かるのは以下です。

    ・母乳外来、助産師外来、産婦人科の候補を出す
    ・電話して空き時間を確認する
    ・同行できる日程を押さえる
    ・症状メモ(いつ・どのくらい・どうなるか)を一緒に整理する

    つらさが強いとき、緊急の相談窓口も選択肢に入れてください。
    引用:https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/soudan/tel/
    (「まもろうよ こころ」窓口一覧がまとまっています)

    家の中でできる工夫を。授乳タイムの“セット”を作る

    D-MERの波は短いことが多いので、乗り切り方を固定化すると負担が減ることがあります。

    授乳前に用意しておくもの

    ・水分(冷たい水や温かい飲み物、好みで)
    ・小さめのお菓子や軽食(空腹で不安が増える人もいます)
    ・スマホとイヤホン(音楽・動画で意識をそらす)
    ・クッションやブランケット(体の緊張を下げる)

    パパができる“小さなサポート”

    ・部屋の明るさを調整する
    ・上の子がいるなら、その時間だけ相手をする
    ・授乳が終わる頃に「おつかれ」と短く声をかける
    ・終わったあとに話したそうなら聞く、疲れてそうなら休ませる


    まとめ

    授乳のたびにママが沈むのを見ていると、パパも心がすり減ります。「どうにかしたいのに、手が届かない」感じがするからです。

    D-MERは、授乳のタイミングに結びついて起きる心の波で、本人の努力だけでねじ伏せられるものではないと言われています。知識があるだけで、ママの自責が少し軽くなることがあります。

    今日からできることは、立派な解決策を出すことではなく、授乳の時間を「一人で耐える時間」にしないこと。
    そばにいる、言葉を短くする、選択肢を一緒に並べる、必要なら相談先へつなぐ。
    その積み重ねが、ママの息継ぎになります。

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