D-MER(ディーマー)は、母乳が出る反射の直前や最中に、不安・悲しさ・嫌悪感などが急に起きる状態です。正式名称はDysphoric Milk Ejection Reflex。授乳だけでなく、搾乳や、自然に母乳が出るときにも起こることがあります。
赤ちゃんへの愛情の不足や、本人の意志の弱さと決めつけないでください。一方、授乳時の不快感がすべてD-MERとは限らないため、つらさがあれば医師や助産師へ相談しましょう。
D-MERの特徴と、まだ分かっていないこと
気分の変化が射乳反射のタイミングと結びつき、短時間で落ち着くことが特徴として報告されています。不安、空虚感、いら立ちなど、感じ方や強さには個人差があります。
ドーパミンやオキシトシンなどの働きが関係すると考えられていますが、原因や効果的な治療法については研究が続いています。「特定のホルモンが下がることだけが原因」と断定できる段階ではありません。詳しくはオーストラリア母乳育児協会の解説を参照してください。
産後うつとの違いは?自己判断だけで区別しない
| 相談時に伝える点 | 確認する内容 |
|---|---|
| 起きるタイミング | 射乳の直前・最中か、授乳以外にも起きるか |
| 続く時間 | 短時間で戻るか、長く落ち込むか |
| 生活への影響 | 眠る・食べる・日常生活を送ることが難しくないか |
| 安全への心配 | 自分や赤ちゃんを傷つけそうな気持ちがないか |
D-MERと産後うつや不安の問題は別の概念ですが、重なる場合もあります。「授乳時だけだから受診しなくてよい」とは判断せず、つらさの程度と生活への影響を医療者に伝えてください。D-MERの研究レビューでも、ほかの気分の問題との重なりが論じられています。
パパができる支え方
本人の希望に合わせて、呼べる状態をつくる
「そばにいてほしい? 静かに過ごしたい?」と、落ち着いている時間に確認します。授乳中に同席することを一律の正解にせず、必要なときに交代や手助けができるようにしましょう。
声をかけるなら「つらいんだね。今できることを一緒に考えたい」と短く伝えます。「気にし過ぎ」「母乳なら幸せなはず」「赤ちゃんのために我慢して」と励ましや努力を求める言い方は避けてください。
授乳前後の作業と休息を引き受ける
- 本人が飲みたい飲み物を、赤ちゃんにこぼれない位置に用意する。
- きょうだいの対応、家事、来客対応を担当する。
- 授乳後のおむつ交換や片付けを引き受け、休める時間を確保する。
- 音楽などを希望する場合も、赤ちゃんの呼吸や様子を確認できる環境にする。
気をそらす工夫や休息が助けになる人もいますが、治療の代わりになるとは限りません。効果がないときに本人の取り組み不足と考えないようにしましょう。
搾乳やミルクへの変更は、本人と医療者で相談する
搾乳でもD-MERが起こることがあるため、搾乳機へ変えれば解決するとは限りません。母乳を続ける、混合にする、育児用ミルクを使うなど、本人の希望と赤ちゃんの栄養、乳房の状態を踏まえて相談します。
パートナーが独断で授乳回数を減らしたり、突然やめるよう勧めたりせず、具体的な切り替え方を医師・助産師に確認してください。薬やサプリメント、ハーブも自己判断で始めないようにします。
相談先へ伝えるメモ
出産施設、産婦人科、母乳外来、地域の保健師などが相談先になります。パパは予約先の確認や、本人が希望する場合の同行を担当できます。
- いつから、どのタイミングで起こるか。
- どんな気持ち・体の症状が、どれくらい続くか。
- 直接授乳と搾乳で違いがあるか。
- 授乳以外の時間の気分、睡眠、食事の状況。
- 今後の授乳方法について、本人が希望していること。
自分や赤ちゃんを傷つけそう、今すぐ安全を保てないという場合は、一人で抱えず、近くの人へ助けを求めてください。差し迫った危険があるときは119などの緊急対応につなぎます。継続的な相談先は、厚生労働省「まもろうよ こころ」でも探せます。
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