子どもへ財産を残す準備は、節税商品を探す前に「誰の財産が、いつ、どの方法で移るか」を整理するところから始まります。相続税と贈与税では対象や基礎控除が異なり、教育費なら何でも非課税というわけではありません。
この記事は2026年9月20日に確認した国税庁の案内に基づく一般的な整理です。財産の評価、家族構成、過去の贈与、適用する制度で結果は変わるため、実行前は税務署や税理士へ具体的な条件で確認してください。

相続税と贈与税の違い
| 項目 | 主に確認する場面 | 最初の整理 |
|---|---|---|
| 相続税 | 亡くなった人から財産を相続・遺贈で取得する | 遺産の内容、債務、法定相続人、過去の贈与 |
| 贈与税 | 生前に個人から財産をもらう | 受け取る人、年内の受贈額、課税方式 |
お金を子ども名義の口座へ移しただけで、すべての税務上の整理が終わるわけではありません。誰の財産か、どんな意思で渡したか、管理の実態などを説明できるようにしておきます。
相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」
法定相続人が3人なら、計算上の基礎控除は4,800万円です。これは子ども一人ごとの控除額ではありません。課税対象となる財産や債務等を整理した正味の遺産額と比べるため、銀行預金だけを見て判断しないようにします。
申告・納税が必要な場合の期限は、通常、死亡を知った日の翌日から10か月以内です。根拠:国税庁「相続税がかかる場合」。特例の適用に申告が必要な場合もあるため、税額がゼロになりそうでも申告要否は別に確認します。
暦年課税の110万円は、受け取る人の年間合計で考える
暦年課税では、その年の1月1日から12月31日までに受け取った贈与財産の合計から、基礎控除110万円を差し引きます。「パパから110万円、祖父母からそれぞれ110万円まで」と渡す人ごとに枠が増えるわけではありません。
相続時精算課税は別の制度で、選択や届出などの確認が必要です。根拠:国税庁「贈与税がかかる場合」。毎年の送金や子どもの口座管理を始める前に、使う制度と記録方法を整理しましょう。
教育費・生活費は「必要な都度、直接使う」が重要
扶養義務者から受け取る通常必要な生活費・教育費で、必要な都度その支払いに直接充てるものは、贈与税がかからない扱いがあります。一方、数年分をまとめてもらって預金したり、株式の購入に充てたりする部分まで、教育費という名目だけで非課税にはなりません。
根拠:国税庁「贈与税がかからない場合」。教育資金の一括贈与に関する別の制度と混同せず、通常の費用負担なのか、まとまった財産の移転なのかを分けて相談します。
110万円以下の贈与でも、相続時の確認は残る
暦年課税で贈与税がかからなかった財産でも、相続時に加算の対象となる場合があります。対象期間は相続開始日などで異なります。「毎年110万円以内なら、相続税にも一切関係しない」とは考えないでください。
適用時期を含む詳細は国税庁「贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」で確認できます。
パパとママが今できる準備は、財産と希望を見える形にすること
- 預金、不動産、保険、借入れなどの所在と名義を一覧にする。
- これまでの贈与と、子どもの教育費の支払い記録を整理する。
- 子どもへ残したい物と、自分たちの生活に必要な資金を分けて考える。
- 相談時は家族関係、財産の概要、過去の贈与をまとめて持参する。
未成年の子どもがいる相続では、税金だけでなく財産の管理や遺産分割の手続きも問題になります。節税額だけを基準にせず、必要に応じて法律の専門家も交えて準備しましょう。
